淳廼さんとモバ友になろう!
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- 2014/3/18 16:03
- ファミリー ラヴ Ⅱ
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- ジャスパーは苛ついていた。
原因は、アンバーローズそっくりな、この男の話し方だった。
正しくは、アンバーローズの方が彼に似たのだ。
そう思い至ると余計腹立たしかった。
また一人になったわけではない。
此処には三人居る。
ボクとキミと、キミの瞳に映るボクだ。
「震えるほどの嫌悪もなけりゃ増悪もないのに、アナタは仕事と称してアンバーローズの手を汚させる。」
「何時の世でも、働く者の手は汚れる」
「これはビジネスなんかじゃない。ファミリーの一員としての勤めだ。パパボーノの傍に居る為のワタシの義務なんだ。」
美しく波打つけれど、屈んだだけで毛先が地面を掃く長い髪に、塵芥と共に魑魅魍魎が纏わりつくならば、
「いっそ切ってしまえよ」と言うと、
「それでは魑魅魍魎達は何処に行けばいいの?」と心配そうな顔をして、親切なのかイカレているのか、分からないことを聞いてきた。
そんなこと知るかよ勝手に何処かに行くだろう、池や川や林くらいはあるんだから…と思ったが、
「分かったよ、キミの毛先15センチは、魑魅魍魎達のスティッキースウィートな栖なんだね」と、ふざけて同意すると、
「スティッキーは余計だよ、ちゃんと毎日洗ってるし…」と頬を膨らませながらも、何度も大きく頷いた。
まるで狂人同士の会話に、ついて行けない彼は、少し寂しい反面、置いてけぼりにされた自分に安堵していた。
摩訶不思議なオブシス
「オブシス、キミにはボクを狙う理由がある。だけどボクを苦しめる為にアンバーローズを襲ったなら、ボクにもキミに報復する動機が生まれるよ?」
強い風に吹き上げられた、長いながい琥珀の髪が、ゆらゆらとジャスパーを誘って来たので、彼は、すれ違い様にその一房に手が伸びた。
ツンと髪を引っ張られ、軽く仰け反らされたアンバーローズは、酷く驚いて後ろを振り返った。
魅入られたように髪を一房握りしめていたジャスパーは、それこそ鳩が豆鉄砲喰らった様な顔のアンバーローズに、何か可笑しくなって悪戯っぽく笑うと、ゆっくりと指を広げ、彼女の琥珀の髪を風に解放して立ち去った。
それにしても、随分と大きな瞳だったな、とジャスパーは思った。
真ん丸く見開かれた目の、殆どを占める琥珀の瞳は鏡の様に、ぼんやりと独り佇むジャスパーの姿を映していた。
「個人情報だだ漏れの名前だよね?でも、おかげでワタシ、オマエの誕生日素通りしないですんだよ?」
- ジャスパーは苛ついていた。