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- 2007/3/21 4:08
- 水曜日のクルト【3】
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- その日僕は公園で散歩をしながら絵の構想を練っていた。
『う~ん。次はどんな絵を描こうかなぁ?』
その時、びゅぅっと乾いた冷たい北風が吹きました。『う~っ!それにしても寒い…!この寒さどうにかならないかなぁ。』
ふと近くのベンチを見ると、おじいさんが僕と同じように肩をすくめて震えていました。
『かわいそうだなぁ。せめて帽子でもあれば寒さがしのげるだろうに。風邪でもひかなければ良いのだが…。』
そう呟くと、またいじわるな北風が強く吹きました。僕は思わず目を閉じてしまいました。風が止んだのを肌で確認してからゆっくりと目を開けました。そして、思わず『あっ』と叫んでしまった。
なんと、あの雨の日に消えてしまった、薔薇色のベレー帽がおじいさんの頭に乗っかっているではありませんか。
『間違いない!あの薔薇色のベレーは僕のだ!』
おじいさんも驚いたようでした。
『おや、なんじゃこれは。さっきの風で飛ばされて来たのかの?お~い、これは誰のベレーじゃぁ?』
おじいさんは辺りをきょろきょろと見回して言いました。
『あ、あのぉ~…。』
僕は小声で言いながらおじいさんに近付きました。
『おぉ~!このベレーはあんたのかぇ?』
『え?あぁ、いいえ。違います…。そのベレー、良くお似合いですよ!』
僕はコウモリ傘の時と同じように嘘をついてしまった…。
『そうかい。うむ、持ち主もいないみたいじゃからのぉ。貰うとするかの。』
そう言うとおじいさんはベレーをかぶり、嬉しそうに行ってしまいました。僕はそれを名残惜しく見送りました。
『はぁ~。ま、おじいさんが喜んでくれるならいいか。きっと僕にはあのベレーよりも気に入ったものが見付かるさ。』
そう言いながら、寒さでかじかんだ手をポケットに突っ込みました。
すると……。
[続く]
- その日僕は公園で散歩をしながら絵の構想を練っていた。