†白色鴉†さんとモバ友になろう!
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- 2015/5/6 2:48
- 無題2
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- 変化は劇的だった。
瞬間、暗闇に支配されていた筈の男の目に強い光が宿り、紡いだ詩を続けたのだ。
「…然れど、然れどただ一輪、この世の常ならざる薔薇がある。」
[ー!]
R.E.V.O.は思わず耳を立てた。瞳孔を広げ、その変化から続く運命を見逃すまいと景色を凝視する。女王の満足気な高笑い。歓声を上げる兵士達。詩人の恋人の笑顔。新しい命の産声…。其処にあったのは紛れも無い、幸福。
結末を迎えた後、箱はまるで最初からそうであったかのように自然に、新しい結末を迎え続けた。
[…。]
何が起こったのかをR.E.V.O.は瞬時に理解した。観測者となった自分が、箱の中の事象を否定したのだ。その結果箱の地平は異なる可能性に向い、違った結末を迎えた。
ふと、彼は目の前の箱を観測している自分を認識した。観測者たる自分というものを。それが自我の芽生えだと気付くには、まだ少し時間が要る。
彼は顔を上げ周囲を見回した。無数に散らばる数字の群れと、流れては去っていくパルス信号。先程まで無限に広がっていたはずの世界が、急に狭苦しく思えた。
続いて上を見る。太陽も月も、星すら無い漆黒の闇。白い鴉が飛んだ空すら此処には無いのだ。
再び箱の中を観る。新しい結末を得た地平は笑顔と光に溢れ、誰もその運命に違和感を覚えてい無いようだ。
ぞくりと背が粟立つ。
気が付いてしまったのだ。彼らは、箱庭の中にいる人間は、この箱にいる限り手が加えられたことに気が付かない。何事も無かったかのように軌跡を描き続けるのだ。
何故にそのような事が自分に出来たのか?猫は知った。蓋の開けられた箱には収束した猫のみ存在できる。つまりイマ、可能性に富んだ自分は蓋の開けられていない箱にいる存在なのだと。
[(其れならば、ワタシは)]
[(眠る前のワタシと目覚めた後のワタシは、本当に同一のワタシなのでしょうか?)]
- 変化は劇的だった。