睡蓮さんとモバ友になろう!
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- 2019/3/23 20:07
- under the moon。。。7
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- ニヤ、展望台はどっちだい?
虎は咥えた猫を落とさないようにしながら聞きました
このまま、真っ直ぐよ。。。
真っ直ぐ登って。。。
猫は力なく、でも以前のように勝手なおしゃべりをはじめました。
ガオ
あたし、貰われていたのよ
小さくて白くて、あと、かわいそうだし、こんな場所にもったいないからって
もったいないと、かわいそうってよく意味がわからないけど
ガオにさよならも言えなかったね
貰い手さんのうちには猫が嫌いな人が3人いたの。
意地悪じゃないっていうけど、ヒゲも毛もしっぽも引っ張られた。
かじられたり、叩かれたり、あたし、もう触られるのが嫌だったわ。
だから、あたしもかじったり、引っ掻いたりしちゃった。
そしたら、いっぱい殴られたの。
すぐに病気になってしまって、もういらないからって、またここに連れて来られたの
白くて綺麗だった毛皮はボソボソで、ヒゲは1本も残っていませんでした。
虎は猫が軽すぎて、
月が綺麗すぎて、
胸がいっぱいで
胸が痛くなって
涙をこぼしながら走りました
ほどなくしてふたりは
展望台に着きました。
動物園を見渡せる小高い山の上に展望台はありました。
ポツンとある木のテーブルとイスが見えて、虎はテーブルの上に飛び乗ると、咥えていた猫を優しくおろしました。
大丈夫かい?ニヤ
まあ、ガオ、少し小さくなったんじゃない?
ガオもなんだかボロボロよ?
すっかり見栄えの悪くなったお互いをみて
月明かりの下、二人はクスリと笑いました。
テーブルの上で虎は丸くなりました。
それからもう一度猫を咥えて、丸くなった自分の真ん中に猫を置きました。
おいで、ニヤ。
あったかいね、ガオ。
ふたりの上からは、満月が銀色の光をこぼしながら、とてもとても大きく輝いています。
ねえ!見て、すごいでしょう?
お月様、大きいでしょう?
すごく近くに見えない?
月と同じくらい光る、ニヤの嬉しそうな目をみて
ガオも嬉しくなりました。
ああ、すごく、キレイだ。
ニヤ、これからはずっと一緒に月を見ないかい?
猫は虎のほうを向いて
小さくひとつ頷きました
よし、じゃあ行こうか。
虎は再び猫をそっと咥えると
展望台から飛び降りて
月の光の届かない暗闇に消えました。。。
動物園には白い虎と白い猫が逃げ出したけれど見つからなかったという噂だけが残りました。
おわり。
- ニヤ、展望台はどっちだい?