睡蓮さんの日記

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- 2019/3/23 20:03
- under the moon。。。6
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- そろそろいいかな
  
  満月の夜がやってきました。
  
  一回り小さくなった虎は前足で首輪を押さえつけ、頭を思いっ切り、引き抜きました。
  
  やった！できた！
  
  元気がないからと少し緩められていた首輪をついに抜けたのです。
  
  バラバラと白い毛が抜け落ちて、首輪のまわりは、うっすらと肌がみえました。
  
  首をブルブルっと振るわせて、
  前脚をうーんと伸ばし、ノビをひとつしてみました。
  
  よろめいて、転びそうになりました。
  
  おっと。。。こんなことしてられない。
  
  虎は飼育員さんが出入りする扉の前へ立つと、前足でガチャガチャと扉を引っ掻きました。
  
  何事かと扉を開けてやってきた飼育員さんを虎は怖い目で睨みつけました。
  
  ガオオオオオオオン！
  
  出来る限りの声で鳴くと、ビックリした飼育員さんは腰を抜かしてその場に座り込みました。
  
  いまだ！
  
  虎は一気に走り出しました。
  ふれあい広場の小屋へ向かって。
  
  小屋の扉には鍵がかかっていましたが、虎は鍵を食いちぎりました。
  牙が少しだけ欠けて、口からは血が出ましたが、虎はかまいもせず、なかにはいりました。
  
  ビックリした犬や猫がバタバタし、鳴いたり叫んだりしました。
  
  小屋のなかは、1匹ずつ犬や猫が入れられたケージがあって、それが何段かに並べられていました。
  
  ガオ。。。どして？
  
  聞き覚えのある声でした。
  
  ニヤ！
  
  みんなと離れたところにあるケージにニヤが横たわっていました。
  
  元気なく横になっていて、あちこち包帯が巻かれていますが、真っ白なニヤがそこにいました。
  
  ニヤになにかがあったこと、元気に歩き回ることもできないことを一目で察した虎は泣きそうになりました。
  
  久しぶりね、ガオ
  元気だった？
  
  弱々しいけれど、生意気そうに笑う緑の目は、会いたかったニヤに間違いありませんでした。
  
  虎はそっと近づいて、ニヤのケージの鍵もひと噛みで壊しました。
  
  それからニヤの首を軽く噛んで小屋から連れ出しました。
  
  ごめん、ニヤ
  痛かったら少し我慢しろよ。
  
  ガオ。。。
  
  白い猫を咥えた白い虎は
  月の光を浴びながら
  大騒ぎの動物園のなかを駆け抜けていきました。