睡蓮さんとモバ友になろう!
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- 2019/3/23 20:02
- under the moon。。。5
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月の出ない暗い夜がきました。
新月の晩でした。
もうどのくらいニヤに会ってないんだろう。
今日は月も見えないのか。
月の出ない夜もあったんだな。。。
夜になると遠吠えしたり、扉を引っ掻いたり、檻にぶつかったりするからと、虎は閉園してから首輪と鎖に繋がれるようになりました。
動くたびにジャラジャラと音をたてる重い鎖は、檻の端に行こうとすれば首を引っ張られるくらいの長さに調節されていました。
ニヤは元気なのかな?
虎は猫に会いたいと思いました。
でも、いまは首輪までついていて、それはどうやっても外れることはありませんでした。
もうこのままずっと会えないかもしれない。
月も、見えない。
ニヤ。。。
ニヤに会えないと思うと胸が張り裂けそうになりました。
ニヤが来れないなら、俺が行くしかないのに。。。
せめて、首輪さえ外せたら。。。
虎はあることを思いつきました。
どうしても、もう一度猫と話したかったのです。
虎は翌日から、食べることをやめました。
ニヤが飲んでいた水場で、水だけを飲みました。
お腹が空いて仕方ないときもありましたが、虎は食べませんでした。
飼育員さんたちは心配して、医者にみせたり、美味しそうなお肉を持ってきたりしました。
お嫁さん探しも始まりました。
それでも虎は食べませんでした。
開園時間に歩き回りることもしなくなった、寝てばかりいる元気のない虎の檻には、お客さんの人垣もできなくなってしまいました。
そして
ついには おやすみ中の札が掛けられて檻は空っぽになりました。
痩せて、すっかり毛並みの悪くなった虎は、室内の檻に移動させられてしまったからです。
ほんとうにどうして食べないんだろう?
虎の気持ちに気づくひとは、1人もいませんでした。
三日月も、上弦の月も、十三夜の月も、
ただ空に浮かんでは消えていくだけでした。