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- 2011/8/11 16:02
- 妖怪取締事務局・帰郷編⑰
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妄想小説注意
俺の部屋の次に陽当たりの悪い仏間は、(廊下よりはマシだが)すっかり冷え込んでいた。
テーブルに広げられていたじいさんの写真が入っていたアルバムは、部屋の隅に綺麗に積み上げられている。
持ち出したじいさんの写真をポケットから慎重に取り出し、アルバムに戻す俺の後ろからシュッとマッチを擦る音がして、辺りに線香の香りが漂った。
ジェジュンは長い睫毛を伏せて手を合わせた後、壁に掛けられたじいさんの写真を見上げふっと表情を緩めた。
「はは、若いユンホしか知らないから…おじいちゃんなユンホ見ると変な感じ。」
「ああ…そうなのか。」
「ユノも年取ったらこう言う顔になるのかな?」
「そっくりだもんね」と笑うジェジュンの隣に並んで、じいさんの写真を見上げる。
「面影ある?」
「ん…、目元と口元はそのまんまかな…。あと笑った時の目尻の皺とか。」
「そっか…。」
寒い部屋がしん、と静まり返る。
実家の―、何処の家にでもある仏間が、ジェジュンと二人で居る今は厳粛で神聖な場所の様に感じた。
「…そろそろ行こうか。」
「ん。」
静かに頷いたジェジュンの肩を抱き、仏間を後にしようとしたその時だ―。
「…え?」
じいさんの写真の顔が、ほんの少し笑った様に見えた。
「ジェジュン…今…。」
呆然と写真からジェジュンへと視線を移すと、黙って写真を見上げていたジェジュンの瞳が俺に向けられ、その漆黒の瞳と視線が交わる。
ジェジュンはそのまま何も言わなかったが、彼の瞳が穏やかに細められたところを見ると…きっと気のせいじゃないのだろう。
暫く見詰め合った後、照れたように俯いて視線を逸らしたジェジュンが、うふふと小さく笑みを溢した。
「ユノの里帰りに付いてきて良かった…本当にありがとな、ユノ。」
「いや、俺こそありがとう。じいさんとの事…色々聞けて良かった。」
「うん…。」
くしゃっと泣き笑いの様な表情を浮かべるジェジュンの肩を抱く。
まさかじいさんの写真を前に彼とこうして会話をする日が来るなんて―。
彼と出会い、事務局でバイトを始めたばかりの頃の俺は予想すらしていなかっただろう。