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- 2010/5/21 10:38
- 僕の小さな星 1中編(ヒバフゥ)
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- えっと・・・確か・・・。
必死に記憶をたどり、目の前の少年の名を思い出す。
別にこの子供の名前なんて、関係のないことではあるが思い出せそうなのに思い出せない、
モヤモヤした感情は雲雀が嫌いなもののひとつだからだ。
・・・確かフゥ太、とかいったっけ?
一年前の黒曜中との一件で顔には馴染みがあった。
かといって会話をしたわけではないので、名前に確信がもてるわけでは決してないのだが。
「・・・君。もう夜も遅い、早く帰ったほうがいい、そして早く病院に行き足や腕を見せたほうがいい」
いくらマフィアに関連する子とはいえ、見た目は普通の子供なのだ。
こんな時間に一人で歩い
ているのは問題だろう。
ここで泣かれでもしたら大変だ。できるかぎりあたりさわりのない言葉を選び、雲雀はフゥ太に声をかけた。
だが、フゥ太が次に発した言葉は、雲雀が予想していたものをいとも簡単に裏切る、ある意味屈強なものだった。
「僕・・・何処に行けばいいのかわからない。・・・助けて恭也兄」
泣きそうな顔、震える声。
たとえそれが演技だとしてもそうでないとしても、雲雀に何か重くて大きなものをぶつけるのは必然だった。
そんな、
―そんな顔するな、
昔の、昔の自分みたいに―
昔?今も、今も僕は・・・―
駄目だ、冷静になれ。雲雀は必死に自分を押さえつけた。
それは、遠い昔の何か、だった。
「きたいのならこればいい。それに足や腕を診るから」
不覚ながらも、しばらく心の中で取り乱していたのだから間はかなり空いていたのだと思う。
冷静になった頭が下した決断は、
雲雀が自分で想像していたものよりも遥かに暖かい言葉だった。
―どれだけ人を倒して、
どれだけ血にふれようとも
この恐怖からは逃げられない―
- えっと・・・確か・・・。