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    • 2011/4/30 8:19
    • 冥土
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    • 午前3時半を少し回った頃、納品先の店先で、手拍子が聞こえたので何事かと思い、耳をすましつつ辺りを見渡した。


      すぐに、手拍子の発信源は納品先の二階にある『メイドカフェ』なる場所からであると分かった。

      こんな夜分にいったい何を騒いでおるか、けしからん!と義憤に燃えた私は、より事態を把握すべく、二階を睨み付けた。

      このメイドカフェとやら、外に面した部分の膝から上の高さ部分は磨りガラス、膝下の高さ部分は普通のガラスの為、僅かながら外からも店内が窺えるのだ。


      注意深く監視していて分かったが、どうやら一人のメイドが奇妙な歌を歌い、踊る様を無数の男共が目を輝かせて囲み、手拍子なりサイバーだのファイアーだの摩訶不思議な呪文だか合いの手だかを入れつつ踊り、盛り上がっているようだった。

      そして躍動する黒いスカート、白いニーソ、白い太もも、白いパンツ。


      そうなのだ。
      一階から見上げる形になっていた私の眼には、メイドのなんともけしからん姿が飛び込んできていたのだ。

      けしからん、実にけしからん。

      あまりにもけしからんから視線が反らせないではないか。

      また妻に「町行く女性の太ももとか見すぎ、マジで」と叱られてしまうではないか。

      どうしてくれるのだ。

      だがしかし、これは仕方ないことなのだ、妻よ。

      お前とて、金髪碧眼細マッチョの美男がブーメランパンツいっちょの出で立ちで目の前にいたなら、股間ガン見するだろう?

      つまり、そういうことなのだ妻よ。

      私は被害者なのだ。
      五分以上、上を向いていたせいで首が尋常ではなくこってしまった被害者なのだ。

      それを分かって欲しいのだ。

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