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- 2014/8/1 21:32
- 短期連載 SNATCH! ⑫
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リリーは冷笑の後、黙してバスルームへと歩き出した。
オレは完全に後込み状態で、足を動かす事が出来なくて。
頭に浮かぶ言葉は、
『やべえ…マジ、やべえ…』
情けなくもそれだけ。
まあ、仕方ない。
自分が知らない世界。それが危険な臭いにまみれてたら、首なんて突っ込みたくない。
誰だってそんなもんだろ…。
そうだよ、オレは巻き込まれたんだ。
謂わば被害者だろ?
至極平凡。退屈な毎日の中怠惰を貪る、そこら辺見渡せばどこにでもいるモブキャラだろ?
なのに、なんでこうなった!
「…自業自得か…?」
アイツをスリ呼ばわりしたからか…。
「…やっぱ、感情はニュートラルに…か…」
波風なく、無関心決め込むが得。
「そうすりゃ良かった…」
ポツリ呟いたら、重いため息が出た。
それとほぼ同時に、鈍い音とバスルームから女のけたたましい悲鳴が上がった。
(やべえ! これ! ガチで警察!)
スマホの画面に震える指を滑らせたら、
「ま、待ってくれ! あれは、こいつが――」
「ちょっ!! アンタ何デタラメ言ってんのよ! アタシはアンタにしつこく頼まれて仕方なくアイツら紹介した――」
バスルームから、なにかを擦り付けあう言い争いが聞こえてきた後に、再度女のけたたましい、長い悲鳴が響いた後、急に静かになって……。