空中分解さんとモバ友になろう!
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- 2012/11/7 19:02
- 初めてのおつかい~魔界編~~前編
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- ヨーヒル現在六歳と七ヶ月。
これまでにもいくたの壁があったが、ここにきて更なる難関が待ち受けていた。
それは、初めてのお使い。
大人の階段一段目の社会的行動。
今日は父親のお使いで、腰痛に効く秘薬を、近くの魔鈍女(マドンナ)亭で受け取ることになっていた。その距離、約五百メーテル。大の大人が手持ち無沙汰に歩いて10分ほどの距離だ。
ヨーヒルは編み込みのカゴを肩にかけてさっそうと飛びだした。お金は途中で飲料水を飲めるぶんは渡されていたので、ヨーヒルの目は爛々に輝いていた。
さて、第一の関門がすぐにでた。
ミゼルさんの家のポチだ。ポチはミゼルさんの家族には甘えるが、他人にはめっぽう毛嫌いする。さくを越えてワンワンと吠えるのだ。
そのことを知らないヨーヒルは、ミゼルさんの家側を歩いてしまった。あしどりは音符が着きそうで軽快なリズムだ。
しかし、誰かの不安の通り、ポチが顔を覗かせる。頭が三つある漆黒の犬。ケルベロスという犬種だ。三つの頭が一斉に吠えだした。
ヨーヒルはびっくりして飛び上がったが、ポチの姿を確認してみた。
犬といってもライオンよりもはるかに大きく、剥き出しの犬歯はヨーヒルののど笛を楽々に食いちぎれそうだ。
ヨーヒルは改めてポチの姿を確認したあと、ポチの鼻頭に手を当てる。
「騒いじゃメッなの!」
驚いたことにそれだけでポチは黙りこんでしまった。第一の関門は余裕だった。大の大人でも小便を滲ませるのに、さすがはヨーヒルだった。
しかし、次こそが最高で最後の難関。
敵は大きなサイクロプスおばさん。家前の掃き掃除のふりをして、通せんぼする有名なおばさん。住人はサイクロプスおばさんのことを完全に諦めているので、迂回ルート必須という、もはや大人でもお手上げの状態。
ところがサイクロプスおばさんは、ヨーヒルを見た途端に、家にぴゅ~と入り込む。そしてヨーヒルが家の前を通りかかると、飴玉を持ってでてきた。
「まあカワイイ、ヨーヒルちゃん、これ食べちゃって」
「ありがとう」
ヨーヒルは満面の笑みでそれを受けとった。こうして最難関の障害を除去してしまったヨーヒル。
- ヨーヒル現在六歳と七ヶ月。