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    • 2012/11/6 19:29
    • 空白の写真
    • コメント(1)
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  • "アバター"
    •  懐かしのアルバムを整理していると、一枚の写真が舞い落ちた。
       それは海岸に映る少女の写真。
       天気は晴れ渡りとはいかず、曇天の様相だったが、少女の笑顔だけが晴れ渡っていた。地獄に一本の蜘蛛の糸が垂らされたような、そんな世界でも救いのある写真だった。
      「元気かな、聡子」
       洋介は一人で寂しくなるような気持ちを思い起こす。ちょうど心に残る映画のワンシーンを頭に描くようにして。

       二人ともまだ頬に丸みのある洋介と聡子は砂浜を歩いていた。至るところに貝殻が落ちていて、波の届かない間に二人の足跡が残る。大きな足跡に寄り添う小柄な足跡。いくすじにもひび割れた雲。
       静かな波音に異物をほうり込むように洋介は口を開く。
      「俺、どこにいっても忘れないよ。お前と出会えたこと」
       それを聞いた聡子は朗らかに笑った。それは精一杯の強がりにも見えた。
      「当たり前でしょ。私のことをあんたが忘れるわけないない」
       そういって聡子は片足で立って、バランスをとっていた。洋介は使いふるした一眼レフを手にして彼女を撮った。いつもなら横に立っている存在の洋介はもう必要ない。
       洋介はその晩、東京行きの新幹線に乗った。夢の絵かきという希望をもって。


       自分の絵を描くために写真を撮ってきた一眼レフ。はかない終末を見送ってくれた。
      「一枚、描こうかな」
       洋介は空白の存在の写真を手にとり、その彩りをキャンパスに移し変えようと思った。忘れてしまっていたお詫びではなく、懐かしい宝石をきらびやかに輝かそうと

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