‡黒羽入‡さんとモバ友になろう!
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- 2012/10/1 23:47
- ヨニンメ戦闘シーン抜粋
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- 錯覚。朔夜の槍先は、私の斜め上から、ピントのずれたレンズのようにその位置を乱し、右肘を抉った。
痛覚が脊髄反射を起こす前に、私は身体を逆側に捻らせ、恐らく待ち構えているであろう蜃気楼に備える。
頭の余熱が冷めきらぬ内に、その流れに棹さすよう、運動神経を流動させる。
鈍い痛みが、良い具合に上半身との神経統合を平衡させ、ビルディングの壁に垂直落下した私の脚は安定した。私はまだ、地面と平行している。
「まるで猿だな、お前」
「………君は相変わらず酷いな」
「酷いのはてめぇの頭だ」
絶え間無く吹き荒れる風塵が視界を遮り、蜃気楼と相乗して、朔夜の位置を特定できない。男のくせに、姑息な真似をする。
風の音が止んだ、その時、
「………!!」
風塵に円形の穴が形成されたかと思うと、それは一直線に飛ばされた槍の軌跡であった。壁を蹴り、緊急的に暴風に乗ったそれを避ける。
しかしそれは、あまりにも後手のない行動だ。空中に漂う私の安定しない身体を、風に乗った朔夜は逃しはしない。
「がっ……ふ」
朔夜の手が、私の首筋を掴む。咽喉が塞がり、呼吸が遮られ、身動きも取れない。
酸素不足。身体に力が入らない。血液が滞っていくのを感じる。
私はさながら人形のように、朔夜の手によって宙に提げられている。徐々に絞まるその手が、私の喉を潰していく。
「かふっ…ぁ…が」
「ほら、泣き喚けよ。お前の専売特許だろう?」
私の全てを変えたこの手が、私の全てを終わらせようとしている。
錯綜していく首上が、私の精神を混乱させていく。
悲観を感じたその次の瞬間には、私の防衛本能と攻撃本能が、私の脳に同時に働き掛けた。
ヨニンメから戦闘シーンを抜粋。
鈴音の文字通り神経質な身体、難しいね。
- 錯覚。朔夜の槍先は、私の斜め上から、ピントのずれたレンズのようにその位置を乱し、右肘を抉った。