ももさんとモバ友になろう!
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- 2010/3/27 10:22
- 不思議なねこ
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- 東京出張した私は、夜の街中をひとり歩いていた。ネオンがきらびやかな街の片隅に一軒のくだものやさん。何気に前を通ると、二、三匹の野良ねこが戯れている。私が店をしばらく覗いていると、ロシアンブルーにも似たそのうちの一匹が足元に擦り寄ってきた。「食べ物屋さんにいるねこは、衛生的によくないな」と、足早に店を離れた。明るい街中から下町に足を踏み入れると、ヒンヤリした風と遠くで踏切の警告音が静かに響く。「東京にも静寂はあるんだ」と、しばらくその風景を眺めていた。すると「コツン」となにかがふくらはぎに当たった。ふと下を見ると、先程のねこが小さな前足で私の足につかまっていた。「お前ついて来たんだ、早く仲間のとこへお帰り」と、あたまやノドを撫でてあげるとねこは「ゴロゴロ」目をひそめた。「バイバイ」私はねこに小さく手を振り歩き出した。しばらくしてふと振り返ってみると、そのねこはさっきのいた場所にちょこんと座りこっちを見ていた。「見送ってくれてるんだな」と思い、先を急いだ。ひとつめの曲がり角にさしかかった時、さっきのねこがまだあの場所にいるような気がして振り返ってみたが、そこにはもうあのねこの姿はなかった。「そっか、ちゃんと仲間の元に帰ったんだ」と、私の胸に安堵と少しの寂しさがよぎった。すこし暗い町の曲がり角を過ぎると、ひとつめの路地の電柱の下に先程のねこの姿がぼんやり見える。「いや、違うねこだろう」と足早に近づいてみると、たしかにさっきのねこだった。そのねこは「ニャン」とちいさな声でなくと、私の前を「スタスタ」と歩きはじめた。