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- 2013/6/18 16:35
- 緋王[鬼遊院 千早]【過去・一】
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- 公家の時代より陰陽師を生業としていた一族“鬼遊院家”とその式神“焔鼬”の一族がいた。
両者関係は旗から見れば主従関係ではあったが、鬼遊院家の当主“鈴鹿(すずか)”と焔鼬の長“灰那(かいな)”との関係は対等なものであった。
“一、鬼遊院家を守り力を貸す代わりに我らが同胞に安住を与え”
“二、我ら同胞の命を断つことを許さず”
“三、これを破りし時は末代まで己が命を我らに捧げよ”
“四、ただし、我らがこの破りし時は未来永劫我らは鬼遊院家にこの身を捧げる”
鈴鹿と灰那はこの四つの契約を交わし、互いの一族の者にこれを堅く申し付けた。
それから数年後、灰那の子として生まれたのが緋王だった。
母である灰那にくらいしか笑顔を見せず、同胞でも不遜な態度が多く、極度の人間嫌いで、人見知りの激しい子供に育った。
ただ、緋王にとって鈴鹿という女は物好きな変わり者として、興味の対象となりまともに話せる唯一の人間だった。
緋王にとってこの世は醜いモノがたくさんで嫌いだったが、鈴鹿は見た目はそうだったが、清らかで無垢で無邪気な彼女は綺麗なモノの一つとして気に入っていた。
そんな鈴鹿も子を生み年老いたが、彼女の心は昔と変わることはなかったが、人間の寿命は短く、鈴鹿も次第に床に伏せるようになっていた頃、緋王が鈴鹿の部屋に呼ばれて向かうとそこのは母:灰那の姿もあった。
そこで緋王はあの契約は鈴鹿と灰那だけの契約で本当は他の一族の者は契約に縛られていないということ、黙って従わせたのは無用な争いを避けるためという話だった。
その事実に緋王は取り乱したが、すぐに冷静を取り戻し、何故その事実を話したのか尋ね返すと、鈴鹿は緋王に新たな契約というよりは約束をして欲しいからと話し、その契約の内容を話した。
“鬼遊院家がもし過った道を辿るならば、一族の全てを滅ぼせ。それまでは今まで通り一族を守って欲しい”
緋王はその話にまた動揺したが、鈴鹿が本気だと分かるとそれ以上は何も言わず、その契約を受け入れた。
翌朝、鈴鹿は鬼遊院家の者や焔鼬達に看取られながら死んでいった。
緋王は涙を見せることも悲しむ顔も見せはしなかったが、綺麗なモノが消えてしまってつまらんと嘆きながら、名残惜しげに鈴鹿が埋葬されるまで片時も側を離れることはなかった。
続き『リンク:緋王【過去・二】』
- 公家の時代より陰陽師を生業としていた一族“鬼遊院家”とその式神“焔鼬”の一族がいた。