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- 2013/4/5 5:32
- ねぇねぇ聞いた?
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- 「めちゃくちゃ大きいアメリカザリガニが近所の大きな川の浅瀬で釣れるらしいよ!」
「嘘!?この池にいるアメリカザリガニよりも大きいの!?」
「大きいよ!昨日、兄ちゃんが証拠に釣ってきた!伊勢エビみたいに大きかった!」
「伊勢エビってなーに?」
「えっとねー、エビの中でも最強のエビだよ!」
「すげー!!そんなのが釣れるんだったら今すぐ行こうよ!!!」
「うん!」
そして見事、巨大なアメリカザリガニを釣り上げた彼等はそのままザリガニの餌となった。
そのアメリカザリガニが昨日死んだ。
寝耳に水だったよ。
4月3日には一緒にスルメ食いに行ったばかりだったから。
でも、今思い返すとアイツは死ぬ事に気づいていたのかもしれない。
いつもならアイツはスルメを食べ終わったら、キャバクラとかクラブに行って朝帰りしてたのに一昨日は大人しく帰った。
「嫁に寂しい思いさせてばかりだから、たまには一緒にいてやりたいから」って言って。
遊び人のアイツが珍しいなとしかその時は思わなかったが…。
朝方にアイツの奥さんから電話がかかってきた。
「主人が亡くなりました。」続けて病院の場所を教えてくれた。
奥さんは泣いていなかった。すごく冷静な声で顔をみてあげてくれと。
アイツは安らかな海老顔をしていた。ザリガニなのに。
死因は不明だと。解剖してもザリガニの事はよくわからないから出来ないそうだ。
いろいろと考えてしまったが、火葬したら良い匂いしそうだなとか。
すると1人の男がヌルッと現れ、奥さんに話しかけた。
「こんばんは。この度は誠に残念でした。辛いところすみませんが、少々お時間を頂けませんか。」
懐から警察手帳を出した。
警視庁ザリガニ係第一課 海老原 蟹夫
海老原は奥さんに訊ねる。
「第一発見者は奥様だそうですね。では発見した時の状況を教えてください。」
「はい。私が起床し、朝食の準備を済ませて主人を起こそうと、寝ている主人の触角に触れたところ、触角がいつもより硬い事に気付きました。嫌な予感がして身体を揺さぶってみたのですが微動だにしませんでした。すぐに救急車を呼び、この病院に搬送されましたが死亡が確認されました。」
- 「めちゃくちゃ大きいアメリカザリガニが近所の大きな川の浅瀬で釣れるらしいよ!」