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    • 2011/9/19 16:07
    • トリートメントはつい30分くらいしちゃう
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    • このまま宇宙にまで行くんじゃないだろうか。

      私はそんな子供のような発想をしてしまい、思わず微笑んでしまう。目の前のガラスに自分の笑みが映りこんでいて、恥ずかしくなって慌てて無表情を装った。

      どんどん上がるエレベータから見下ろす街は綺麗で幻想的だった。信号や看板、照明や車のライトなど、あらゆる小さな明かりが星空のようだった。いや、星空なんかより綺麗だろう。この街からは星なんてほとんど見えないし、だいたい星は、肉眼ではここまで色とりどりには見えない。

      普段歩いているときは綺麗だなんて思わない街。遠くから見るからそう思うだけだろうかと考える。そういえば、空の星だって遠くにあるから綺麗に見える。それは、小さく見えるからだろうか、儚く見えるからだろうか。

      夜の街も、儚いのだろうか。

      「着くよ」

      彼が言ってすぐ、重力が崩れる。エレベータが速度を落とすときの浮遊感。それが普段より大きく感じられた。夜の街に意識を奪われ過ぎていたせいか、アルコールが回っているのか。私が浮足立っいるせいかもしれない。

      エレベータが開くと静か過ぎる廊下が伸びていた。緩いカーブがかかっていて突き当たりは見えないが、どこまでも続いていそうな錯覚があった。深い赤のカーペットには汚れ一つなかった。

      彼はその廊下に一歩踏み出してから、後ろの私に手を差し出す。私もエレベータを出て廊下を踏んでから、その手を握る。

      彼は片手で開鍵し扉を開けた。中に入って廊下を折れてようやく見えた部屋は、私の世界にはないまばゆさに満ちていた。シャンデリアに見るからに高価そうなソファに謎めいたオブジェたち、一面ガラスの壁からはさっきの街が一望できた。私は場違いであることを痛感する。第一、こんな毛の深い絨毯を土足で歩いているのが気持ち悪い時点でこの部屋に踏み込む品格がない。

      「私……、夢を見てるみたいです」

      私は思わず呟いてしまう。彼に笑われる、と思った。案の定、彼は笑った。

      「じゃあ僕は夢の住人かな?こう見えても僕、昔はピーター・パンに憧れててね」

      「私も好きです、ピーター・パン」

      「でも、夢は夢のまま見続けていたほうがいい。夢を現実にして夢の中に住んでしまうと、なぜか、どこか寂しくなってしまう」

      そう、彼はいつも、どこか寂しそうなのだ。

      大人は夜も寝ないから、きっと夢が見れないんだろう。

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