ロッテ(*'-^)さんの日記

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- 2019/11/26 8:15
- カフェ・オレ
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- 朝がくる。手洗いを済ませ、また布団のなかに入る。ペットボトルの水が少しつめたい。カーテンを捲ると窓が少しくもってて、冬の到来をいやでも感じさせる。いっそのこと雨になってくれたほうがいいのに‥。　ちいさい頃、雨で学校が休校になるのがひどく嬉しくて、連絡網で休校の通達がまわってくると部屋にいる自分がふわりと宙に浮いたような気分になった。　雨はひどく感傷的な気持ちになるし、雨粒が地面をぱしぱしと叩く音がとても心地よくて、それは自然が奏でるオーケストラのように優美だった。雨の日に無性に行きたい場所は空港のターミナルや百貨店などで、空港でガラス越しに行き交う人々や車をみたり、飛行機の便が遅れて待ち合いの席がすこし混雑していく光景や、土産物売り場が活気づいて平積みの品が次々に手に取られていく様子などは、なんだか微笑ましくみえた。百貨店なら、雨のさーっと降り続ける音がよく反響する一階のフロアがいちばん好きで、ハンカチや香水や財布をみて店員となにげない会話を交わし、雨の音をにわかに感じている瞬間がたまらなく心地よくて。　雨の音色は私を違う場所に連れていってくれる。ふるいラジカセでカセットテープの音を聴くような、なんとも切なげで肩のちからが抜ける気分にさせてくれる。その雨にさそわれて私は群青の街をぽつぽつと歩く。ベージュの傘をさし、交差点をわたり、雨に包まれた高層ビルを抜け、また雨の重低音を感じれる場所へと靴音を響かせる。せわしなく動く人達のなかに私もいて、するするとその輪をすり抜けた途端に、ふと立ちつくす。透明なガラス越しにもうひとりの自分が映っている。少し頼りなさそうにみえるそれは、雨の粒と重なってこのまま蜃気楼のように消えてしまいたいとガラス越しに対話している。だけどその声は雨雲のせいで誰にも聞こえない。次のビルに入ったら階段の踊り場でぼんやりとしてみよう。すこし静かな場所がいい。灰皿とか余計なものがないほうがいい。ビルに入り、ひとしきり踊り場の椅子に座り、頭を上にむけてちいさな溜め息を吐く。ふいに端をみると、色褪せた自動販売機が置いてある。飲みたいものは何もなかったが、徐に財布から小銭をとり温かいカフェオレのボタンを押した。しばらくそれを両手で挟み、また椅子に凭れた。雨音が聞こえない場所で、自分の心臓の音だけが鼓膜を震わせた。ややあってすこしだけ手のひらがあたたまった。