Re:STANさんとモバ友になろう!

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    • 2011/5/5 2:21
    • 煙草2
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    • emoji『リンク:煙草/Re:フタシカナココロ』の続き。
       彰人は首から下のない男に訊ねた。
      「聞こえるのか、ってどういうことだよ。聞こえるし、あんたの顔も見える」
       正確には顔しか見えない。男は首から下がないだけは飽き足らず、その生首は宙に浮いている。こんな奇想天外なものを素通り出来るほど、今の日本は荒んでいない。
      「いや、大体わかんだろ。俺っちはな、死人なんだよ」
       なら何故、喋るのか、宙に浮いているのか、彰人は思考を巡らせた。
       そして結論に至る。
      「お察しの通り。俺っちは幽霊だ。詰まるところ、お前さん以外には見えない」
       生首はにやりと笑った。彰人は悪い夢でも見ているのかと、額に手を当て、何度か叩いた。
      「まぁ、目や耳を疑いたくなるこたぁ、わかる。俺っちも昔は生きてたんだ。勿論身体もあった。もしもその時にいきなり現れた生首に『俺は幽霊だ』なんて言われたら、ぶったまげるに決まってる」
       首から下のない男は言葉を続けた。
      「でもな、俺っちは幻(ファントム)でも悪夢(ナイトメア)でもねぇ。れっきとした幽霊(ゴースト)なのさ」
       生首はきひひひひ、と意地汚い笑い声を上げた。
      「それで、その幽霊(ゴースト)が、俺に何の用があるんだ?」
       彰人は平静を取り戻すため、制服のポケットから煙草を取り出し、火を着けた。
      「ん、いいもん持ってんじゃねぇか。俺っちにも一本くれよ」
      「その前に俺の質問に答えろ」
      「やだね。お前さんがそいつをくれなきゃ答えたくねぇ」
       しばし、彰人と生首は睨み合った。しかし、彰人が質問している以上、生首が答えなければ話が進まない。彰人は深く煙を吐き出すと、新しい煙草を生首にくわえさせ、火を着けた。
      「へへっ。悪いな。互いに頑固だといけねぇもんだ。で、なんだったっけ」
      「幽霊(ゴースト)が俺に何の用だ」
      「あぁ、そうだったな。いや、別に大した用はねぇよ。ただ声をかけたらお前さんがこっちを向いたんだ」
       生首は美味そうに煙を吹かした。無論、くわえ煙草である。
      「ただ、それだけなのか?」
      「あぁ、そうさ。でもな、お前さん。生きてる人間に俺っちが見えるってことはよ、お前さん、もうじき死ぬぞ」
      「俺が? もうすぐ?」
      「そうさ。死因までは知らねぇよ。ただ死ぬのさ。たまにいんだよ。身体持ったまま俺っちみてぇな幽霊と話せるやつがよ」
       再び、生首はきひひひひ、と笑った。奇妙な笑い声は、路地の奥の方まで響いていった。

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