ローレンスさんとモバ友になろう!
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- 2015/7/20 3:38
- ひまわり
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- 顎を伝う汗を手の甲で拭った。
身長より遥かに高いひまわりを避けながら、さて。この先には何があっただろう。
「進んでも進んでもひまわりですね」
「ん、なに?聞こえない」
刺すような蝉の合唱は、1メートル先の耳にすら届かない。
ミーンミーンと、何をそんなに一生懸命鳴いているのか。まぁ、そんな事はどうでもよくて。
「まるで迷路だ」
「この歳で迷子だなんて、笑えないね」
そう言う顔はいかにも楽しそうで、口先だけのこの人は「それはそれで面白い」と言わんばかりにどんどん進んで行った。
「ちゃんとついて来ないと、本当に迷子になってしまうよ」
あぁ、そうだ、
続けてそう言うと此方へ振り返る。
白い肌に流れる汗。夏がまるで似合っていない。
ただ、まばたきひとつ、小さく跳ねたそれはキラキラと光ってなんとも綺麗なビー玉みたいだった。
「迷子になったら、大きく手を振って俺を呼ぶんだよ、ちゃんと見つけてあげるから」
冗談だろうか。
こんな大きなひまわりに囲まれて、見えるはずないだろうに。
こんなうるさい蝉の聲に、勝てる気すらしない。
要は、“迷子になるな”ということだろう。
食えない人だ。微妙な表情のまま突っ立ってる僕を見て、くすくすと笑いながらまたひまわりの中に埋もれていった。
ー もし、このまま動かなければ。
なんて。アホらしい。
そんな子供みたいな事を、
「 」
ああ、ほら。
何度やったところで左も、右も、上も、下も。そこにはひまわりしかなくて。
「 」
手を伸ばし、呼ぶ声は震え、蝉達はそんな僕を笑っているのだろうか。
子供みたいに、声を上げて泣いてる僕は、迷子になったんだろうか。
「・・アホなのかな、きみは。」
ひまわりの影に紛れて見慣れた人影。
「・・そうみたいです」
「困った子だ」
帰ろうか。と、今度は手を引いて。なんだ、最初からこうすれば良かったのかと、少し前を歩く背中が言った。
ひまわりは、太陽を見失ったりはしないのだ。それはとても簡単なことで、ただただずっと見ていれば良いのだ。そらすことなく、その眩しい光を。
「先にあるものは、見つかりましたか」
「いや。でもまぁ、いいんだ。」
秋には見えるその景色を、僕らはまた忘れてしまうから。
~ひまわり:貴方だけを見つめてる~
閻鬼!閻鬼!!
- 顎を伝う汗を手の甲で拭った。