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    • 2015/7/24 0:59
    • 不倫物語53 夢が醒めれば
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    • 「うん。今、大阪だよ。うん…うん。3日研修したら次は東京に行くよ、うん…」
      周りが空港だとばれないように、トイレにこもって電話をした。
      大阪周りで少し研修をして東京に行く。
      妻にも妻の家族にも、友人にも、同僚にも全て嘘をついた。
      ただ、関空から沖縄に行くのが自分にとって都合がよかっただけ。
      もしかしたら、亜紀ちゃんにはそのことがナミから言って漏れているのかもしれないが、おいらの親友がたとえ知っていたとしても、だまされたふりをしてくれているのなら、その心遣いを受けておこう。
      羽田ほどではないが、長い道のりを経て、ゲートを出たら、そこには愛しい愛人のナミが立っていた。
      おいらの顔を見ると、主人を待ち構えていた犬のように喜んだ顔を見せて、笑顔でおいらに抱きいてきた。
      周りにはたくさんの旅行客…そんなことにも構わず、おいらナミと抱き合ってキスをした。
      何度も、何度もキスをした。
      沖縄の照りつける太陽のように、熱いキスをした。
      その瞬間、富山の事も、家族の事も、仕事の事も…全て忘れてしまった。
      「どれくらい居れるんだっけ?」
      レンタカーの軽を運転しながら、ナミは言った。
      「うん。仕事は7月10日からだから、7月7日には帰ろうかな。まだ、チケット取ってないけどね」
      「私は、いつまでいればいいかなあ」
      「7月いっぱいまでは大丈夫だと思うよ。この車、借りたの?」
      「うん。長期レンタルで。沖縄は何でも安いからありがたいわ。でも、バイトの時給も安いけど。800円きるのよ」
      「へえ~でもそれでも暮らしていけるんだ」
      「多分、楽勝ね。富山とは大違いだわ。ねえ、ねえ、沖縄のパチスロやってかない?」
      「いいねえ」
      趣味があうというのはこんなにいいことだと改めて感じた。
      目に付いた専門店に入って、沖縄のパチスロを二人で味わった。
      台の上に、かかりそうなチャンスゾーンの回数などが書いてあり、フラグが立ったら、パトライトや台のランプなどが光るのが特徴だ。
      おいらとナミは数万円勝って、ナミのウィークリーマンションについた。
      国際通りに近く駐車場も完備された、小じんまりとしたマンションだった。
      ナミの部屋に入ると、ほんとうに1Kのアパートで、冷蔵庫やテレビ、洗濯機など、必要なものは何でも揃っていた。
      「何週間かだけど、ここで二人で暮らせるのね」
      そう、おいら達にとっては夢のような話だった。
      ただ、夢は目が醒めれば確実に終わることも知っていた。

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