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- 2011/1/7 20:17
- 京の恋模様2011…
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- ひどく大人しい
3つ年上の彼女だった
まだ学生の僕と
すでにOLの彼女
四条烏丸から河原町まで
二人で歩く道
なぜか傘が一本だけで
「大雪やな?」
「うん…」
「珍しいな…」
「うん…」
「さっきな、凍った道で転んでしもてん…」
「うん?」
「僕が雪だるまになってしもうたゎ…」
「クスクス……」
言葉少なの彼女と
ぎこちない僕の会話
ひとつの傘のなかで
二人の肩がときどき触れ合って
「今夜、あったかい鍋にしよか?」
「うん…」
「それで、さ……」
「うん?」
「あ、あの…」
「うん?」
「今日、あの……」
「うん……」
「そ、その………」
「うん?」
「今夜、だけど……」
なかなか「何か」を言い出せずにいた
そのとき彼女の右手が
傘の柄を持つ僕の左手のうえに
きゅっと重ねられた
寒椿のように赤いネイルが
僕の指に絡んで
その途端に
僕は胸がかあっと熱くなり
何も言えず黙りこんだまま
二人いっしょに
京阪三条への道を歩いた
雪化粧した京の冬
傘の下
少し色づいて
少し恥じらんで
恋遠からじ…
春遠からじ…
from Kyoto Destiny
- ひどく大人しい