ハルっコさんとモバ友になろう!
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- 2009/6/14 23:32
- 鎮魂歌~おやすみ~
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夜中の事故現場は街灯も少なくどこか殺伐としていた。規則的な間隔で並ぶ大きな木の中の一本に、事故の傷痕を見た。夜中、人通りも無く寂しいその道で、たまたま通りかかった人が心臓マッサージをしたけれど、陽介が戻ってくる事はなかったらしい。
あいつは逝っちまった。
前触れもなく突然、哀しみと違和感と普段は見えもしない感情を置いて。
皆それぞれに酒を開け火をつけた煙草を置いて陽介に話し掛ける。私は花束をそっと置いた。それは陽介みたいな黄色い向日葵の花。一人一束のお線香に火をつけている時みんなのライターが壊れた。私は100円ライターだったが、カチッと押したまま、手を離しても火が消えなくなった。とにかく全員のライターが壊れた。間違いない、陽介の合図だ。
手を合わせ目を瞑る。事故現場に連れてきてくれたほっくんの「笑ってそ-だよね」の一言に救われた。と同時におばさんの「骨になって帰ってきました」の一言がよぎる。頭の中が忙しい。
こんな事になってやっと、私達はこんなに陽介の事が好きだったんだと思わされる。同時に他にもう誰もいなくなって欲しくないと強く思い直す。人間嫌いの私がもっと人を好きになれた気がする。ありがとう。
最期に電話で聞いた言葉は
「おやすみ」
それでいい、そのままでいいよ。「俺最近えりっ子なんだ-」と笑いながら言ったあいつの声がいつになく正確に思い出せる。9年間の中に埋もれていた記憶を拾い集めると、寂しがりで甘えん坊でバカでひつこくて人が大好きで人懐こい陽介の、へらへらと笑う顔ばかり浮かぶ。笑顔が一番似合ってた。
存在しなくなる意味も分からず、ただもう会えないという不条理に理不尽さを感じながら私達は時を重ね生きる。
どうかあいつが、自分の人生はとても幸せだったと安らかに眠れますように。
陽介、
おやすみ
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