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    • 2008/1/10 21:27
    • 初日記的なサムシング
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    • 18世紀中頃、イギリス北部にキーベストという小さな田舎町があった。
       
      森や林に囲まれており、かつてはその豊富な材木を売ったり加工したりすることで町は活気に満ちていたのだが、交通の不便さや徐々に進行する過疎によって、段々と衰退していった。
       
       
       
      そんな町に建築家を志す、1人の青年がいた。
       
       
      古き良き時代の贅沢な建築様式に憧れを抱き、いつの日か自らの手でそれを超えるものを建ててやりたいと思っていた。
       
       
      今やすっかりとくたびれてしまったこの町で彼がこのように志したのは、湖のほとりにある大きな屋敷によるところが大きかった。いや、ほとんどであるといってもいいだろう。
       
       
       
      彼はいつもその湖へ行き、木の陰に腰を下ろし、あるいは寝そべりながら、その屋敷を眺めていた。
       
      ただずっと眺めているだけの時もあれば、スケッチブックに描き写したり、湖畔に映った姿と見比べたりもしていた。
       
       
       
      大きくなってからは、本を読んだり、煙草をふかしたりしながら、暇な時間をほとんどをその屋敷のそばで費やした。
       
       
       
       
       
       
      そこはかつての栄えた時代に建てられたその町一番の大きな屋敷で、高さ2mほどの白い門の向こうには広々とした庭があり、その奥に薄く黄色がかった白の、二階建ての屋敷がどっしりと腰を据えていた。
      煌びやかさこそ失ってはいたが、その当時の趣が十分に感じられる、品の良い屋敷だった。
       
      屋敷の周囲は門と同じくらいの高さの塀で囲まれ、暖かい季節になると庭に植えられた薔薇の甘い香りがしたものだった。 
       
       
       
       
      しかし彼がその屋敷に多くの時間を捧げたのは、屋敷の素敵さだけによるものではなかった。
       
       
       
      二階の一番右の部屋には4人乗りのボート程のバルコニーがあり、天気の良い日にはたまにそこで、その屋敷の娘が日向ぼっこをしていた。
       
      彼女はとても、美しかった。
       
       
       
       
      青年はその娘に恋をしていた。
       
      屋敷を眺めている時、その娘が恍惚たる太陽のお誘いに魅せられ、その姿を外界に露わにすることを少なからず期待していた。
       
      雨の日であっても、もしかしたらこの雨の、木や土、湖の内側を少しずつ集めたような、生命の余韻のようなこの匂いに心を奪われて出て来るのではないかと、ずっと眺めていた。

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