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    • 2025/7/13 22:44
    • セクシーボーイ
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    • 実家の押し入れを整理してたら、見覚えのある青いボトルが出てきた。

      「セクシーボーイ」

      中学時代、僕が人生で初めて手にした香水。

      友達とドラッグストアで「どれが一番モテそうか」って真剣に議論して、僕はそれを選んだ。(名前だけで)


      翌朝、僕はそのセクシーさを最大限に発揮しようと、全身にシュッシュッシュッ!
      仕上げにリストバンドにまでシュッシュッ!っと染み込ませ、準備は完了。

      今日から僕は「セクシーボーイだ!」と言わんばかりに匂いを振り撒いていた。


      しかし、その日の1時限目が始まる直前、隣の席の女の子が後ろを振り向いて
      「あ~…香水きつくてやばい…」とぼやいていた。

      (あれ?ヤバいってどっちの意味?もしかして、つけすぎた?)
      そう思った僕は、1限目が終わったら軽く洗い流そうと決めた。

      しかし、1時限目が終わるまでもなく、隣の席の彼女は吐いた。え?って思う暇もなかった。

      もう完全に僕のセクシーボーイのせいだった。


      その出来事はクラス中に知れ渡り、僕のあだ名はセクシーボーイハラスメント、略して「セクハラ」になった。

      それ以来、僕の「セクシーボーイ」は封印された。

      押し入れの奥にしまわれ、記憶の奥底に葬られた。

      それから、17年の時を経て再登場。
      懐かしさとともに、うっすらとトラウマの香りまで漂ってきそうで、まだ蓋は開けられない。

      でもなんか、あの頃の「ちょっとでもモテたくて必死だった自分」は嫌いじゃない。

      なぜなら、あの日のセクシーボーイは、たしかに未熟だったけど、本気で自分を変えようとしてたから。

      まあ、変わったのは女の子の体調だけだったけど。


      おわり

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