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    • 2013/4/11 15:29
    • トリコロ闘病記④
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    • 【白血球物語:Q】

      若き白血球は立ちつくしていた。

      次々に襲い来る巨大な黄色い悪魔を同志達がその命と引き換えに駆逐し、押し返す。
      戦いを脇に見ながら戦場を駆け抜け、遂に最前線の最前、これ以上前に味方の姿はない所まで来た。
      いや、味方の姿はある。しかし、それはもう動くことはない。
      屍と巨大な黄色い塊が見渡す限り広がっていた。
      屍はどれも先陣を切ったベテラン達だった。

      「うぅ…先輩…」

      若者は立ち尽くしたまま必死で声を絞り出す。
      背後では戦闘が依然続いている。
      「仲間の死を無駄にするな!!」(※花粉は無害なので無駄です)
      怒号があちこちで上がり、その声が若者の小さな声を掻き消した。
      若者の顔が絶望の色に染まっていく。

      『よう。こんな所まで来たか。ひよっ子が』

      若者は声を聞いた。
      ハッと顔を上げる。

      『あーぁ、まったく。嫌になるよな。何もないときはブラブラ見回りしてるだけの厄介者。で、俺達が必要とされるときが来たとして、そのときはもう既に悲劇だ。絶望もしたくなるだろ?』

      若者は傍らにある巨大な黄色い塊の影に見覚えのある姿を見つけた。

      『「敵襲ーーーー!!」か。なんだありゃ?俺の真似か?』
      その声の主が顔を上げニヤリと笑う。

      「先輩!」
      若者の顔に希望の色が戻っていく。

      『ま、ひよっ子にしてはなかなかだったぜ』

      「もう、いつまでもひよっ子なんて呼ばないで下さいよ。俺もうひよっ子じゃないっすよ」

      『…そうだな』
      ふーっと息を吐いた後、ベテラン白血球は気だるそうに立ち上がる。
      『確かにお前は、お前達はもうひよっ子じゃない。これからはお前達が一番のベテランとして後輩達に戦い方を教えるんだ。俺達の戦いは文字通り命がけだ。ブルッたらお終いよ。それは言葉で伝えられるもんじゃねぇ。この戦いが終わったらその先あの見回りだけの日常が永久に続くならいい。だが、黄色い悪魔は毎年必ずやってくるんだ。俺も昨年、先輩にその話を聞いた。戦場でな』

      「先輩」

      『さてと、後方へ下がってな。来年は任せたぜ、未来の先輩』

      ベテラン白血球は後輩に背を向けると、ゆっくりと歩を進め叫んだ。

      『まだ何人かは生き残ってるんだろ!?全員で行くぞ!俺達世代最後の戦いだ!!仲間の死を無駄にするな!!』
      (※無駄です)

      そうして集まったわずか数名の白血球は最後の戦いに散っていった。

      つづく

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