☆サムサラ★さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2012/8/20 1:58
- 憧れ
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ふたりは 一緒に乗ってきた クーペのドアのサイドに 寄りかかっている。
目の前には 視界いっぱいに、夜になってまだ間もない海がある。
海は 重い艶のある ダークブルーの巨大な生命体だ。
その海の上に、 ついさっき昇ったばかりの満月がいる。
静かに燃えるその黄金の球体が海から 突然変異のように分裂し 劇的に生まれてくるのを ふたりは一緒に見たばかりだ。
海の上に昇る満月を観に来て ふたりはいまでも海と月を見ている。
水平線のむこうから 満月の縁の一端が見えた瞬間は 時間が静止して月だけが生きている と彼女は思い、 いまでもその思いの中にいる。
月の一端が海の上に出た瞬間、 月の光が 海の上を自分に向けて走ってきたスリルを 彼女は思い出す。
目の前にある 巨大な球体は 今 海の上に宙吊りであると同時に 彼女の心の内部にも 等しく巨大に 浮かんでいる。