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    • 2009/8/17 1:53
    • ちょっと面白い話を…②
    • コメント(2)
    • 閲覧(12)
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    • 僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。
      どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていない。


      ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。
      しばらく呆然としながら状況を把握できないままでいたんだけど、急に天井のあたりから声が響いた。


      古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。
      声はこう言った。



      『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。
      歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』



      って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側にはドアがあったんだ。横に赤いべったりした文字で



      『進め』



      と書いてあった。


      ドアの側には紙が落ちてあり



      『3つ与えます。
      ひとつ。右手のテレビを壊すこと。
      ふたつ。左手の寝袋の人を殺すこと。
      みっつ。あなたが死ぬこと。
      ひとつめを選べば、出口に近付きます。
      あなたと左手の人は開放され、その代わり見知らぬ彼らは死にます。
      ふたつめを選べば、出口に近付きます。
      その代わり左手の人の道は終わりです。
      みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
      あなたの道は終わりです』



      めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。


      馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。


      それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。
      それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。


      そして僕は考えた。
      どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、一番近くのよく知る命か。


      進まなければ確実に死ぬ。
      それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。


      何も分からないまま死にたくはない。
      一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。


      寝袋の脇には、大振りの鉈があった。
      僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ
      動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。


      ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。
      次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。


      ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。


      もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。
      右手のテレビの画面からは、色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼でこちらを覗き返していた。


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