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- 2021/3/6 3:06
- 短編構想その３
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- Aの家庭は生まれた時から荒れていた。Aはそんな中誰とも口をきかずに育った。誰しもがAは口が聞けないのだと思っていた。無表情な顔。活気の無い目。
Aは良く一人で町外れの丘にある神社にポツンと一人で御神木の木に座ってもたれかかっていた。
やがて、その神社を壊し、墓地にする計画が持ち上がる。業者が入り、伐採が始まった。Aは、それを見て言葉にならない叫び声を上げ、現場に立ち入ろうとしたが、作業員さんに阻止され、無理矢理引き摺られ、物置に入れられて鍵をかけられ、工事の邪魔ができない様にされた。その後、遠くの親戚の家に引き渡された。
Aが最後に見た丘は、半分程が削られて、関東ローム層の赤い土が剥き出しになっている光景だった。
Aは、その後、何十年もそこに帰る事はなく、Aの両親も、新しく出来た墓地に埋葬された。
Aは、ある日そこに戻っていた。
丘は既に無く、平坦に目の前に広がる墓地を見ながら、初めて言葉を発した。
「お母さん…。」
- Aの家庭は生まれた時から荒れていた。Aはそんな中誰とも口をきかずに育った。誰しもがAは口が聞けないのだと思っていた。無表情な顔。活気の無い目。
