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- 2015/5/3 18:03
- 【八犬伝を発見伝
犬塚信乃編】72
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「
五倍二、ぜひ媒妁たのむ」と、のっぴきならぬ懇望。急なようだが相手は陣代さま、縁を結んでおけば決して損はない]
[…]
[大抵のことは陣代さまの腹一つでどうにでもなりますからな。村長どのも必ずよろこんでくれる、こう一人ぎめにのみこんでまかり出た次第。どんなものでござろうな]
下から出ながら、なんとなく脅しにかけている五倍二だ。
[な、なるほど…]
といったが、これは蟇六もとみには返事ができない。
この間の夜、浜路が陣代にからみつかれて庭から逃げ出し、幸い額蔵がなだめて連れかえってはくれたが、浜路はたしかに陣代をきらっているのだ。
それはたかが小娘のことだからまたなんとかいいくるめる道があるとしても、
やっかいなのは信乃とのいいなずけの件である。まだ若年の甥だが、奥底が知れないだけに信乃は怖い。
[どうだな、蟇六どの、それがしはこんな良縁はまたとあるまいと思うのだが]
[へえ、まったくで、すぐおうけしたいのですが…]
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