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- 2015/3/28 12:18
- 【八犬伝を発見伝
犬塚信乃編】67
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- なるべく近づかないように離れてくると、そんなことには人一倍敏感な養母が、陣代の目の色をちゃんと読んでいて、
[浜路、殿さまにお酌をなさい]
と、それとなくねめつけるのだ。
[殿さま、お座興に浜路どのと一曲合わせましょうかな]
左母二郎は左母二郎でまた如才がない。
[うむ
それは面白かろう。お娘御の妙手、ぜひ所望したい]
[いいえ、私は不調法者でございますから]
[かまわんかまわん
今宵は無礼講じゃ]
鶴の一声で、結局、浜路はこれもうとましい左母二郎と並んで琴を弾かなければならなかった。曲が終われば、
[やあ、見事見事
今の一曲が今夜の馳走の白眉じゃ
天女といえどもこうはまいるまい。感嘆、感嘆]
と、目を細くして鶴が真っ先にだみ声をあげるのだ。その尾についてごきげん取りの下役どもが、やんや、やんやと手をたたく。
居たたまらなくなって、浜路はそっと廊下へ出てしまった。
[もういや…]
- なるべく近づかないように離れてくると、そんなことには人一倍敏感な養母が、陣代の目の色をちゃんと読んでいて、