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- 2015/2/11 16:23
- 【八犬伝を発見伝
犬塚信乃編】66
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- 日ごろ強欲な蟇六夫婦だが、その日は身分にかかわる大切な瀬戸際だから金に糸目をつけず、また軽薄な網乾左母二郎がこの時とばかり鎌倉流を振りまわして十分に饗膳の用意をととのえたのだ。
いささか礼に過ぎて、心ある者ならひそかにまゆをひそめたろうが、客の陣代簸上宮六は田舎侍だから、そこまでは気がつかない。はなはだ上きげんで、得々として供応をうけ、下役どもとともに大いに酔い興じて、宴はいつ果てるとも知れなかった。
が、若い陣代がそれほど上きげんなのは、あながち善美をつくしたその夜の膳部でもなければ、網乾がこれ努める艶曲虚弁(ざれうたかるくち)のたぐいでもない。
今夜は大切な席なのだからと親たちによくいいふくめられて、派手な羅衣(うすもの)に装いをこらし、余儀なく酌にはべっている浜路の、見れば見るほどにおうばかり肌つややかな優れた美貌に、すっかり魂を奪われている宮六なのだ。
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[(…きらい)]
浜路は酔っていよいよ露骨に絡みついてくる宮六のけだものじみた目を体中に感じて、いやでいやでたまらなかった。
- 日ごろ強欲な蟇六夫婦だが、その日は身分にかかわる大切な瀬戸際だから金に糸目をつけず、また軽薄な網乾左母二郎がこの時とばかり鎌倉流を振りまわして十分に饗膳の用意をととのえたのだ。