↑アップ☆さんの日記

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- 2010/3/5 22:59
- 忘れじの情景①
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- 「東京生まれの横浜育ちです」
  
  そう言うと「生粋の都会っ子ですね」って良く言われます。
  でも違うんです。私が幼少時代を過ごした横浜は、海寄りではなく川崎市に隣接した小高い山の上。周辺には家も数軒しかなく、街灯すら途中でなくなるために月明かりを頼りに家路につくほど、本当に横浜の外れにある小さな田舎町でした。
  
  そもそも、そこへ越した理由が喘息持ちで病弱だった兄の為に医師の勧めで自然環境の恵まれた所に移るというものでしたから、その情景を想像していただくこともそう難しくはないでしょう。
  
  学校から帰るとランドセルを放り投げ、一目散に外へ遊びにでる。木登りやかけっこ、段ボールで坂を滑り降りるなど、お金をかけた遊びは何一つない、実に簡素なものでした。でも私にとっては何ものにも代え難い、本当に自然のみで築かれた広大なレジャーランドでした。時計を持ち歩くでもなく、親が呼びに来るでもなく、ただ暗くなったら家に帰るという自由奔放な日常が、私には楽しくて仕方なかったのです。
  
  携帯電話もない、ＴＶゲームもない、それでも特に不自由を感じることなく、ただ巡り来る時間を存分に謳歌していました。まだ大人になった自分を全く想像できないほど幼かった年代を、こういった環境で育てていただいたことを心より両親に感謝します。未だに当時の家や街並みが夢に出て来るくらいですから、どれほど強烈に印象づいているかがご理解いただけるでしょう。
  
  現在はニュータウン化で閑静な住宅街へと変貌してしまったため、もはや見る影もなくなってしまいましたが、今でも私の中には当時の情景のまま、唯一の心の故郷としてしっかりと胸に刻まれているのです。