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    • 2010/7/12 17:14
    • 佐ノ宮バースディ小説2
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    • 「ホント?」

      恐る恐るこっちを見てくるコイツが可愛くて、ここが下駄箱の前じゃなけりゃって思った。
      せめて二人だけの空間だったらもっと……
      てか、何考えてんだ、俺!

      「じゃあ、今から一緒にプレゼント買いに行こう!佐ノ宮君が欲しいもの何でもいいよ!って言ってもあんまりお小遣いないから大したもの買えないだろうだけど」

      ダメ?と首を傾げながら見つめてくるのはわざとなのだろうか。
      いや、わかってる。コイツは天然でそれをやるんだから。

      「はぁ、じゃあそこの自販機のオレンジジュース」

      「えっ!流石にそんなに金欠じゃないよ!」

      「いいんだよ、喉渇いたから飲みてぇだけだし。イヤなら自分で買う」

      「ちょっ……もう!買ってくるから、そこ動かないで!」

      ガリガリと頭を掻きながらぶっきらぼうに言うと、怒った顔でそれでも急いで自販機に向かってくれた。
      あっという間にミッションをクリアしたコイツは、俺の前によく冷えたジュースを差し出してくる。

      「はいっ」

      「…………」

      「どうしたの?せっかく買ってきたのに」

      「お前……笑えよ」

      「え?」

      「いいから、笑えって言ってんだよ」

      実は今日、コイツの笑顔を見ていない。
      怒った顔や困った顔ばっかりだったから。
      それも俺が原因なんだろうけど、やっぱりコイツは笑顔が一番いいから。
      無理を言ってるとわかってはいるが、真剣に顔を見つめてたらコイツは困った顔をした後ゆっくりと笑顔になった。

      「はい!佐ノ宮君っ」

      「じゃあそのまま言えよ」

      「何を?」

      「はぁ~、俺の誕生日祝わなくていいのかよ」

      「あっ!佐ノ宮君、お誕生日おめでとう!」

      はっとした顔をした後、とびきり可愛い笑顔で言われたその言葉が、何年かぶりにスゴく嬉しく感じた。本当は今までだって嬉しかったんだろうけど、照れが先に来て素直に喜べなかっただけなんだ。

      「サンキュ」

      いつになく優しい顔になってる自覚はある。でも止まらない。
      眩しそうにこっちを見上げてくるコイツの手からジュースを取って、さっさと歩き出す。
      それに気付いて小走りに掛けてくると、俺のシャツをぐぃっと引っ張って来た。
      背中がそれた俺の耳元で囁かれた言葉。

      「あと一つ。生まれてきてくれてありがとうね」

      呆然と耳に手を当てる俺は思った。
      赤い顔のお前とその言葉が今日一番のプレゼントだと。

      END

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