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    • 2010/7/12 17:14
    • 佐ノ宮バースディ小説
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    • 小さい頃の7月12日はケーキとプレゼントが楽しみだった。
      けど、それも小学生ぐらいまでで、だんだん誕生日だからって特別なことをされるのがウザくなってきた。
      ケーキなんかいつでも食えるし、自分が生まれた日だからっていちいち祝う意味もわからない。

      いつの間にかそう思うようになってたんだ。



      「さ、佐ノ宮君!今日誕生日って本当?!」

      下駄箱から靴を取り出して、さぁ履き替えるかって時に息を切らせながら階段を降りてきたコイツは、俺を見つけるといきなり叫んできた。
      周りに誰もいなかったからよかったものの、目立つのが好きじゃない俺は思わず顔をしかめてしまう。
      そんな俺の表情を見て、少し瞳を潤ませながらもう一度、今度は落ち着いた声で聞いてきた。

      「佐ノ宮君、今日誕生日なの?」

      「……まぁな」

      わかっていただろう俺の返事にコイツは、唇を噛み締めただけだった。


      「私、さっき佐ノ宮君のクラスの女子の話を聞いて知ったんだよ?その子達よりは私の方が仲良くしてるって思ってたのに」

      確かに、コイツの誕生日を当日に他の男から聞いたとする。
      そしたらスゴく腹が立ちそうな気がしたから、とりあえず俺は謝ることにした。
      自分でも自分勝手だとわかってるけど、やっぱりコイツは俺の中で特別な位置にいるのだ。

      「悪かった。けど、たかが誕生日だろ?別にたいしたことねぇよ」

      「そんなことない!私はちゃんと誕生日を知って、プレゼントも用意して、誰よりも早くおめでとうって言いたかったよ……」

      少し下から見つめてくる真剣な表情と真っ直ぐな言葉。
      不覚にも、抱き締めちまいそうになったのはけして俺のせいじゃない。
      動きそうになった自分の身体もお前のその態度も、すべてが恥ずかしくてドクドクと血液が顔に集まってくる。
      そんな俺を見られたくなくて、いつものように顔を横へそらした。

      「ごめん、今のはちょっと図々しかったよね……」

      そんな俺の態度を拒絶と受け取ったのか、コイツは肩を落として下を向く。

      ちゃんと見ろよ!照れてるだけだから。顔だって有り得ないぐらい赤くなってるだろうし、気付いてくれよ。

      思っても俺にそんなこと言えるわけがなく、そっぽをむいたまま小さく「別に図々しくねぇし」と言うことぐらいしか出来なかった。

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