軽No.1さんとモバ友になろう!
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- 2011/4/1 21:57
- 海と共に。
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- 太平洋を一望できる家で育ったことが自慢だった。
自分の部屋のカーテンの隙間から差し込む朝日が目覚まし代わりで、水平線の向こうから聞こえてくる貨物船の汽笛は子守唄だった。
悲しいことがあると、砂浜に腰を下ろし海を見つめた。
嬉しいことがあると、船着場に赴き一人海を見つめた。
学校への登下校は、意味も無く潮の香りのする漁港を歩み、漁師のおっさんへ声を掛け、漁を終えた祖父の笑顔に自分も微笑んだ。
海と共に、オレは育った。
海はいつもオレの味方だった。
だけど、あの日の数日後、生まれ育った町へ駆けつけたオレは目を疑い、正に崩れ落ちた。
あの港町には何も無くなっていた。
友達と遊んだ公園も、毎日通った駄菓子屋も、友達の家も親戚の家も、友達も親戚も。
高台にあった実家は奇跡的に形を残した。
だが、隣の友人の家も、向かいにあった津波の避難所に指定されていた公民館も、見る影も無くなっていた。
学生時代、海を離れ生活していたが、結果海に戻った。
漁業と密着した仕事を選び、今まで海と共に生きてきた。
もう、海と共に生きることは出来ないかもしれない。
日本は強い国だ。
支援物資の余剰が問題になりつつあるのも、ライフラインが瞬時に復興するのも目の当たりにした。
まだアレから3週間。
水が出ないとか、電気がこないとか、もはや慣れてしまったよ。
だけどさ、友に裏切られた傷口はなかなか癒えることがない。
海と共に生きてきたオレ達は、これからも海と共に生きて行きたい。
だけど、海はいつかまたオレ達に牙をむくかもしれない。
計画停電とか、節水とか、直ぐに風化するのは知ってるんだ。
ただ、オレは海と共に生きたい。
これからも海と共に生きたい。
ただ、それだけだ。
- 太平洋を一望できる家で育ったことが自慢だった。