愛原里緒奈さんの日記

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- 2013/1/23 18:34
- 赤い蝶
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  赤い蝶／あさき
  　
  　
  　
  　
  夕暮れ　遠くに伸びる
  長い二人の影を目で追いながら
  手を繋いで帰った
  鳴る　小さな小さな鈴の音
  
  一様に並んでる
  鳩時計と一緒に鳴るよ
  りんりりぃん
  響く　小さな小さな音
  
  ある朝　彼はお偉いさん
  「君は僕がいなくても平気ですか？」
  震えてるその手から漏れている
  堂々巡りの迷妄
  
  とても汚い色した
  吐き気を催す丹の笑み
  りんりりぃん
  響く　彼女の鈴の音
  
  白装束の老婆が背中で笑う
  そうさ　ぺろりと舌出しながら
  「右手は空へ　左手は海へ捨て
  　立派に蒼天仰げよ！」と
  論う鴉達は右へならえ
  
  至極　是当然と並べ立てた理想と幸せは
  雨催い茫漠と広がり　溶ける
  耳元で囁く
  「鬼さんこちら手の鳴る方へ」
  白雲消えて行く
  
  「嘘を吐くキサマらの舌なんて
  　チョン切って捨ててやる！
  　ずっと待つんだ！彼を待つんだ！」
  見えぬ聞こえぬ
  何も無い方がいいと笑う
  金魚鉢に写る彼女はくるくる流れる
  
  「お元気ですか？」
  彼女の手紙
  或る日を境に途絶えた
  
  何度目かの緑雨に染まる鳥が風を連れて来た
  でもいない
  あの子は黙して音色
  あの飴色空
  影を伸ばすことはないでしょう
  鈴は鳴り響く
  
  「僕は帰ってきたよ！」
  鴉の喚声　暮色に消ゆ
  彼は走った！そして涙こらえて
  そっと扉開けた！
  そこには　彼女の時を乗せた
  鈴の音だけが