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- 2011/6/8 1:28
- 創作、小説、掌編「お兄ちゃんキライ!」
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- 「800字でつづる掌篇小説の文学賞」五月期投稿作品の二作目です。
一作目が少しブラックな作品だったので、こっちはがらりと作風を変えてみました。
五月ということで、GWを話に織り込みましたが、これ別に夏休みでも冬休みでもいけそうですね。
まぁ、なんといいますか、にやにやできればいいかなぁ……と、思って書いた次第です、はい。
『お兄ちゃんキライ!』
き、聞いてください!
あの人ってばひどいんですよ! わたしのことをバカって言ったんです。バカって。
これってどう考えても実の妹に言っていい言葉じゃないですよね。ほんと、人間性を疑います。
それに、あの時のわたしを見る目といったら……。あぁ~っ、もう腹立たしい! あれは完全に人を見下した、哀れむような目ですよ! お兄ちゃんのバカバカバカぁーっ!
え? 何があったのかって?
いえ、ほんの些細なことなんですよ。GW中やるように学校から出された宿題があったんですが、それを……その……あはは、すっかり忘れてまして。ちょいとばかしマズイことになってしまったのでございます。
ほら、今日ってGW最終日じゃないですか。それに、時間も夜の一〇時を回っちゃってるわけですし。そこで、兄の手を借りようと思ったんですけど……。
ああーっ! 今思い出してもムカツクです!
わたし、家族ってのはやっぱり助け合わなければならないと思うんです。ましてや、ラブリーキュートな妹の頼みですよ。それなのにあのバカ兄ときたら、ほんと冷血動物ですね。思いやりのかけらも感じられません!
そりゃあ、宿題をぜんぶ丸投げしようとしたのはほんの少しだけ悪いと思いますよ。 だって、しかたないじゃないですか、わたし、あんな問題解けませんもん! できないことはどうしようもないんです。
そもそも、人の本当の価値は勉強が出来るか出来ないかでは決まらないんです。これこそ真理ですよ。真理に気づく人間は賢いんです。つまりわたしは賢いのです。バカではないのです。
バカなのはお兄ちゃんのほうですね。
大嫌いです。ばーか、ばーか。
ん? ノックの音? いったい誰でしょう?
あ、バカ兄だ。
いいい、痛い。バカ兄と言ったからって叩くことないじゃないですか! ほんとサイテーです。
な、なんですか。その紙きれは?
あ……宿題のプリント……。
……………………ごめんなさい、お兄ちゃん。大好きです。愛してます。最高です。
(800文字)
- 「800字でつづる掌篇小説の文学賞」五月期投稿作品の二作目です。