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    • 2020/6/18 21:45
    • マドンナ・ブルー その1
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    • 幾つもの雲が星を隠す夜。
      「雲一つない満天の星空だったらカッコつけられたのに」
      そう呟いた少年は家を出た。
      家出ではない。何となく散歩をしたかっただけ。
      少年が向かったのは近所の小学校の裏にある山。名を『大神山』という。
      「ようやっと高校生になるんだ。映画や漫画で良くある素敵な出会いの一つや二つ、俺にだってあるだろう。」
      前言撤回。散歩をしたかっただけだなんて嘘。空想世界の出来事をリアルにしたかったのだ。そういう年頃なのだ。
      彼が目指していたのは、彼の住む竜美市街を見渡せる場所。山の中腹にある展望所である。そこまで歩いておおよそ15分。普段運動などしない彼にはなかなかの距離だった。展望所に着いた頃には案の定息切れしていた。
      「変わらなきゃいけないんだ。変えなきゃいけないんだ。全ては自分の為に。」
      汗だくでカッコ悪いまま呟くその様は滑稽としか言いようが無い。

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