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- 2014/5/22 13:17
- 本当の天邪鬼は……。②
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『リンク:本当の天邪鬼は……。①/細ノ曲 想夜』の続きです。
「つまりは、根っからひねくれているということですな、カイゼル様は」
不意に天井からぬっと現れた奴が言った。
「……」
部屋で独り愚痴っていたはずなのだが、この神出鬼没の忍者に対してそこをツッコんでも意味は無い。
「相手がたとえ善意で言ってきたことでも、自分の意に沿わなければ気に入らない。
いわゆる、天邪鬼、というやつですな。
ええ、ええ。拙者、知っておりますよ。カイゼル様は本能的にひねくれているのです。
ひねくれた心のままに振る舞っているのだから、ある意味ものすごく素直でしょう。暴君であるゆえんですな。
是非そのままの素直なカイゼル様でいてくだされ。本人は大変でしょうが、見ている分には面白いので、拙者としては生暖かい目で見守らせていただく所存です」
つらつらと並べられている間、無言で振るっていた剣は全て回避され、結局最後まで言わせてしまった。
「……っ……勝手に、しろ……」
「ふむ、この場合はツンデレですな。まったく分かりやすい。区別がつくのは同じくひねくれている拙者くらいでしょうが」
今度こそ、と渾身の一撃を放ったが、言い終わるやいなや姿をくらませたらしい忍者にはやはり届かなかった。
「…………天邪鬼、か」
呟いてみると、すとん、と腹に落ちるものを感じる。
勝手なことを言われ、反撃すらできなかったのに、葡萄頭をズバコロしたときと違って不思議とスッキリしていた。少なくとも、嫌がらせは食材をつまみ食いする程度にしてやるか、と思うくらいには。
ここ↓にあとがきというか解説っぽいの載せてます。『リンク:本当の天邪鬼は……。/細ノ曲 想夜』