仁@卵料理人さんとモバ友になろう!
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- 2013/9/4 6:36
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- ごそごそと音が聞こえて、最初に僕が想像したのは、
向こうが悪意を持って、小動物か何かをごみ箱に入れて、
こっちに送り込んできたんじゃないかということだった。
ごみ箱はがたがた揺れて傾き、ふたが落ちた。
気は進まなかったけど、中身を見ないわけにはいかない。
右手に護身用の長い懐中電灯をにぎり、
僕はごみ箱の中を、注意深く見下ろした。
ごみ溜めの中で、白い手がおぼれていた。
手は、薄手のゴム手袋をはめていた。
素手をごみ箱の中につっこむのは、気が引けたんだろう。
危険がないことを確信したのか、手は次第に大胆になって、
肘から先までがこちらの空間に侵入してきた。
このまま体までこっちにきたりしないだろうな、と僕は心配したけど、
向こうのごみ箱もそこまで大きくはないらしく、
肘から先までが、侵入できる限界みたいだった。
綺麗な手だった。手袋の上からでも、それは分かった。
この人の手の爪を見てみたいな、と僕は思った。
それからは時々、向こうの手が「探索」にきた。
ごみ箱の中をいじくりまわしては、戻っていった。
そのつど、僕は向こうの手をじっくりと観察し、
いつ見ても綺麗な手だな、と感心していた。
これが足だったり顔だったりしたら、
僕はもう少しうんざりしていたんだろうけど、
手が侵入してくる分にはまったく構わなかった。
そう、手が侵入してくる分にはまったく構わない。
必死にこちらの様子を探ろうとしてくる手を見ていると、
頭の悪い猫の食事でも見ているかのような気分になった。
僕はその手の存在を、けっこう気に入っていたみたいだ。
- ごそごそと音が聞こえて、最初に僕が想像したのは、