仁@卵料理人さんとモバ友になろう!
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- 2013/8/28 18:41
- その手の話
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- 「そうでありませんように」と願ったけど、
やっぱり僕の部屋にあるごみ箱の底は、
どこか別の空間に繋がっているみたいだった。
僕が「必要ない」と思って捨てたもののすべてが、
向こう側に送り届けられていたと思っていいらしい。
最近、やたらごみの量が少ないのはそのせいだったんだ。
僕は僕のごみが適切なところにワープしていることを願う。
ごみっていうのは、生活の「見せたくない部分」のかたまりだ。
その上、僕には「人には見せられない習慣」があった。
何も知らない僕は、その痕跡をごみ箱にいくつも放り込んでしまった。
もしこれが誰かに見られてしまったんだとしたら、
僕はどうにかしてその人を口止めしなきゃいけない。
ためしに僕は、ベランダの物干し竿を持ってきて、
ごみ箱の底に、ゆっくり下ろしてみる。
思った通り、物干し竿は、どこまでも吸い込まれていく。
僕は竿を上下左右に動かして、「向こう」を探る。
どうやら向こうは、このごみ箱より少し広い、
直径三十センチちょっとのトンネルになっているらしい。
これはひょっとすると、と僕はひらめく。
僕のごみ箱の底は、これとよく似た、
別のごみ箱の底に繋がっているのかもしれない。
それ以来、僕はごみ箱にものを捨てるのをやめる。
でも、ごみは溜まり続ける。見覚えのないごみ。
そのごみの主が若い女であることは、間違いなさそうだった。
僕のごみ箱に、見覚えのない女物のごみが溜まっていく。
ようするに、こういうことだ。僕らはごみを交換している。
向こうが捨てたものはこっちに届いて、
こっちが捨てたものは向こうに届く。
まるで糞のなすりつけあいじゃないか、と僕は思う。
お互いの嫌な部分だけ見ることになるなんて。
- 「そうでありませんように」と願ったけど、