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    • 2011/3/12 23:27
    • 【全く】地震・1【気付かなかった】
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    • 「はっ、はっ、さみぃ」

      豪雪が森羅万象を純白に染め、風が冷たく吹きすさぶ中、少年は自転車で川沿いを走っていた。

      吹雪が眼鏡を覆い、視覚情報を遮断する。積雪が崩れやすい凹凸を形成し、接地面積の小さい二輪の足を掬う。

      サイクリングをするには最悪な天候で、何故少年は走るのか。

      全てのきっかけは自転車にあり、そもそもの目的は、自宅から乗り継いだ先の駅から学校へ向かう際に使用していたこの自転車の回収だった。

      理系分野に進んだにも関わらず成績面においては文系教科に常時助けられていた少年も晴れて高校を卒業。

      同時に、3年乗り回していた自転車を置いておく理由も消滅し、まあ、後は言わずもなだろう。

      予定段階では、早めに家を出て電車で目的地に行き、道中で様々な場所に寄り道しながら遥か遠くの自宅へ悠々と帰宅するつもりだった。

      ところが久々に跨がった自転車は後輪がパンクしており、とても長い旅路に耐えられそうもない。

      とりあえず自転車屋に持っていき修理を依頼。出てきたのは代理のおじいさんだったが、夕方前には直せるから終わったら連絡すると言ってくれた。

      さて、それまでの時間はどう潰そうか。

      この時点で時刻は11時。勉強道具でも持参していれば試験前のように図書館で勉強でもできたものの、持参していたのは貯金通帳から引っ張り出しておいた最低限道中をエンジョイできる金のみ。

      ならば仕方ない、と、彼は近場で時間を潰そうと決めた。

      行き付けだった本屋で3時間程立ち読みし、これまた行き付けだった電気屋でゲームや玩具を物色。2時半頃、『そろそろ飯だ』と呑気な心境で、少年はすっかり悪天候になっていた外に出た。

      卒業以来、食事を昼と夜の1日2食で済ませていた少年にとって昼飯が遅れる事はさしたる苦痛では無かったが、少しでも腹に物を入れないとバッタリいくかもしれないのは解っていた。

      今そうなった場合、自分は誰にも発見されないまま(この大雪だ。外出したがる物好きもいまい)寒さにやられて息絶え、空が機嫌を落ち着かせた頃に氷漬けで発見される。

      ふざけるな。そんな死に方末代までの恥だ。と、白む眼鏡を指で拭き、ひたすらに前進した。



      時刻は午後2時45分。震度5強の地震が秋田を襲う中、倒れないように神経を尖らせていたにも関わらず、少年は大地が大きく揺らいでいる事に全く気付かなかった。

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