君を笑いにキタさんとモバ友になろう!
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- 2009/2/8 22:34
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- 右列三番の女
「この指はいらない」
陰狐は、戒の左指を包丁で切り落とした。
もう血は飛び散らなかった。ただヌルヌルと切り口に滲むだけだった。
「痛かった?ごめんんさいね。でも、これはあの他人(ひと)に送ってあげる。この指だけはあの人のものだから」
切り落とされた薬指には、まだ忌々しい銀色の指輪が光っている。
「あなたがいけないの。こんなのをはめているから、あの他人(ひと)は自分が愛されてるって思い込んでる。ほんの薬指ぶんなのにね」
ピンクのパラフィン紙にその薬指を包むと、あの他人(ひと)の名前を書いた茶封筒に無造作に入れた。
「だからこれだけはかえしてあげようと思ったの。だって、後はもう全部、私だけのものだもの」
深紅に染まったベッドに横たわる戒は、本当に静かだった。
「この頬も胸も。そう、あの時キスをくれたこの唇も、全部私だけのもの」
厚い胸に手を当てた。まだ温もりが残っている。『リンク:_/S-フィオン』
- 右列三番の女