日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2016/3/3 17:31
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- 朝の「さよなら」は舌に残った煙草の味だ。シーツの皺。
モーニング・コーヒーのカップに沈んだ砂糖。そして
なんとなく名残惜しく、そのくせすこしばかりの
自己嫌悪がともなう。
昼の「さよなら」は笑顔でできる。すぐまた逢えるような気がする。
だが、一番はっきりと二人をへだてるのは昼の
「さよなら」である。
涙は日が沈んでからゆっくりとあふれ出る。
夕方の「さよなら」は一匙のココアだ。
甘ったるく、そのくせにがい。
夜になったら、また二人は結びついてしまうかもしれないので、
ひどく心にもないことを言って早く別れてしまう。
夕方の「さよなら」はお互いの顔を見ないで、
たとえば、空を見たりすることがある。
だから夕焼けの赤さだけが二人の心に残るのである。
夜の「さよなら」は愛と同じくらい重たい。
人たちがみな抱き合っている時間に「さよなら」を
言うのはつらいことである。
- 朝の「さよなら」は舌に残った煙草の味だ。シーツの皺。