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- 2010/8/15 5:05
- 超! 不定期連載「常識君が行く」く
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- 常識君は物思いにふけっていた。
だらだらと昔の事を思い出した。
中学生の頃に不登校に陥ったときの事。「いつかは死んでしまうのに何故こうも健康だとか学力に気をつけなければならないのだろう」そんな事を布団の中でいつまでも考えていた時期だった。
ご飯を食べる際に両親からあれやこれやと学校に行く意味、意義、素晴らしさを聞かされていたがそれらは全て当時の常識君の心に届かなかった。
今ならわかる気もしない。普通の家庭では不登校児なぞいない。不登校児のいる家庭は普通の家庭でないという極めて簡単な事を押し付けていたんだと思った。
みんな死について忘れたフリをし、明るく振舞い続け、冗談を言い合い、希望に溢れ、励ましあい、協力しあい、慰めあう社会なのだ!うんざりする現実に気が付き人間でいるのを辞めようと何度も思った。
しかし、一線を越えられず社会という巨大な生き物の中で生きるにはそれなりの隷属性が必要なんだ、と結論した。学校に行ってみることにした。その時の我が両親の喜びようと言ったら無い。
結局は始業時間から放課後までずっと図書館に居た。腹は減っていたが自分の教室に行くには気まずいしそんな勇気を持ち合わせていなかった。わずかながら貰っていたおこずかいはメガストアを買う為にと節制していたので水だけを口にしていた。
それから家に帰るとこれまた母親は喜び勇んで玄関まで駆けつけてくる。「どうだった?」と聞かれたのを記憶する。ずっと図書館に居た旨を伝えるとその期待に満ちた顔がしゅんとしぼむのと、復讐が成功した快感が体を貫く。簡単に世間に戻れると信じているおめでたい顔に唾でも吐きかけてやりたい欲求を抑えるのに苦労した。
思えば僕はまともになった。きっと数十年後にも呟くだろう。
常識君は口許から垂れた涎を拭った。
- 常識君は物思いにふけっていた。