デトワール★さんとモバ友になろう!
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- 2008/4/25 20:57
- 《ヤク中》のご老人
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- 午後八時頃、電車内で恐怖の出来事が発生しました
私は人が込んでいる車両内で、中世の魔女裁判に関する資料を読んでいました。窓からはつややかな夜景が見渡せます。遠方では、住宅街の明かりが真珠のネックレスのように連なっていました。
すると突然、私の向かい側に座っていた老人が、不気味な呻き声をあげました。居合わせた方々は、怪訝な表情で老人を見ています
そうしていると、老人は喉の奥から絞り出すような声で、予想だにしなかった言葉を叫んだのです
「ばあさんや……ヤクをくれ!」
車内の空気が凍り付きました。人々のは老人に集中しています。やばいと思っているようです
すると、隣に座っていた老婦人が、なだめるような口調でこう言いました。
「あらあら、おじいさん、またいつものですか?」
一挙に緊迫感が生じました。ざわめきがさざ波のように広がっていきます。若い女性がを握って、警察に通報するべきか悩んでいる姿も見受けられました。中年の男性は明らかに引いています。老人の周囲にいた人はその場から離れました。たぶん、やばい人物だと思ったのでしょう。
やがて老人はじたばたし始めて、『ヤクをくれ!』と喚き始めました。人々はひそひそと囁き合っています。私は少々気味悪さを感じて、『もしやこの老人は、どこかの病院から抜け出したのか?』と思いました。
すると老婦人は見兼ねた様子で、
「まったく、しょうがないですねえ……ひとつだけですよ」
と言いながら、ハンドバッグに片手を突っ込みました。車内の人々は食い入るような目付きで、老婦人の一挙手一投足を見守っています。果たして出る物は、注射器と白い粉か……?
ついにある物が取り出されました。
ヤクルトでした。
「おお、ヤクだ!」
と、老人は嬉しそうにそれを受け取ると、一気に飲み干します。人々は一様に唖然としました。どうやら老人は、ヤクルト中毒だったようです。確かに《ヤク》ではありますが……その夫妻は、次の駅で下車しました。
実に紛らわしかったです。本当に薬物中毒患者かと思いましたよ……しばらくして車掌が駆け付けて来ましたが、すでに片がついていました。
人騒がせな真似は、年齢に関わらずやめてほしいと思います。私は若輩者ですが、この出来事は極めて心臓に悪かったです。
《本日の一言・ドイツ語》
Kommt Ziet, kommt Rat.(時が経てば、分かることがある)
- 午後八時頃、電車内で恐怖の出来事が発生しました