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- 2025/5/6 5:06
- 言うべきか言わざるべきかそれが問題だ
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- 銀膝 Never Turning back Railway 686
「それじゃあ、幾つか質問させてもらいますよ?こちらにも守秘義務はあるんで、外には漏らしませんから。」
ディールもようやくマスコミとしての仕事をする気になったようだ。
「まず、あなたの出身地から教えて下さい。」
さっき拉~麺男が言った通りだ。
「いや、そうじゃなくて具体的な名称を聞いているんです。確信を得られなければ、貴方の話を信用することは出来ないんですよ。それとも大総統が撃たれた映像はフェイクだって証拠になる物は他にあるんですか?」
ディールは髭を抓みながら口調を強めた。
「オジサンお願い。本当のことを話して。このままじゃ、私達生身の人間は大総統に、機械化人にいいようにされてしまう!」
リルが真っ直ぐな目で訴えかけてくる。
そうは言っても、俺達の旅路はまだまだ長い。ここで本当のことを話せば、万一それが漏れて機械化帝国伝わりこの先本懐を遂げる前にどんな邪魔が入るか分からない。ましてやまともに答えたところでそれがどこまでの手助けになるか。
拉~麺男とトントンもどうすることも出来ず、う~んと唸ったまま俺がどうするか委ねているようだ。
さて困った。この選択は、俺達の、いやこの物語の大事なターニングポイントになってくる気がする。本当のことを話すべきか話さざるべきか…
一つの星の人々を救うわずかな可能性のために、もっと多くの人々を救うという俺達の旅の大きな目的を達成するための障害の芽を生む訳にはいかない。賢い大人ならそう考えるだろう。
しかし残念ながら俺達はそんな賢い生き方は出来ない。
目の前の困った人々を救えず何が機械化帝国と戦うだ。何が終わりなき旅路だ。何が銀河移動中膝栗毛だ。ここで関わったのも何かの縁だ。もしかしたら俺だって明日病気や事故で多悲んじまうかもしれん。今できる最善を尽くそう。
分かった。全部話そう。あの映像がニセモンだって信じてくれるなら全て正直に話す。何でも聞いてくれ。
そう言うと、ディールの目の色が変わったような気がした。
「ではもう一度聞きます。あなたの出身はどちらですか?」
俺の出身地は地球だ。ここから気が遠くなる程離れた星だ。天の川銀河って知っているか?その中に太陽系ってのがあって、その第三惑星が、地球だ。
- 銀膝 Never Turning back Railway 686