宵風 紫さんとモバ友になろう!
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- 2009/11/25 0:47
- 老僧と泣き虫。
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月を見ると思い出がやってくる。
夜にはいい夜と、
…悪い夜がある。
月の出る夜はいい。
流れる空と時に
酒と肴がすすむ。
雲の狭間から滲む月明かりもよい。
悪い夜は…何も無い。そう、何も無いのだ。
僕はそんな夜が大っ嫌いだった。
…無いということが「在ある」。
そこには月も星も雲ない。
あるとすれば漠然とした恐怖と不安。そして初源の闇である。
心は軋み、ゆっくりとしかし確実にやってくるのだ。
恐怖とは振りほどくことの出来ぬモノ。
…辛い夜はな。こうするといい。
まず呼吸を意識なさい。
整えるなんては素人にゃ無理だ。
自然にゆっくり息を吸ってはく。
「瞳を閉じろ…円を描け。そう、心に丸く丸く。そうしてその円に輝きを持たせなさい。大きく、強い光。」
…月は生まれ変わる。それはキミの中で。
それこそが心月。
これが…『月輪観』也。
「どうだ?もう怖くなかろう。ほら泣き虫小僧は寝ろ。」
当時、これが修行僧の技の一つであり、武術においても通じる精神法だと知るにはまだ幼すぎた。
今も変わらぬ魔法のおまじない。
…故人の教えとは偉大なものだ。