阿字子さんとモバ友になろう!
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- 2015/3/1 23:37
- たまには映画の話
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- 2006年のデンマーク映画『アフター・ウェディング(Efter brylluppet)』について。
観る映画を選ぶ理由はさまざまだと思う。
イギリス映画が好きな理由はイタリアの監督のせいだ。ミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』。あの露出オーバー気味の画面は当時(もちろんリアルタイムではない)芸大生で「白」という顔料の魅力にとりつかれた自分にとって「これやこれ!」みたいな感動があった。日光をとらえる感覚は重要で、これはアメリカ映画にはあまりない。ドイツ人の監督がなぜかアメリカの日光を撮るのが上手いのは不思議。
北欧映画が好きなのは白夜好きだからだ。夜なのに白いという矛盾。夜は闇黒のメタファーだが、私のこよなく愛するシュティフターがいちめんの銀世界のことを「ただひとつの白い暗やみ」と書いたように、黒は距離感として深部のある印象があるが、白は感覚のすべてが剥奪された世界のイメージである。
さて、北欧映画を観に行ったつもりなのに、映画はいきなり強い陽射しが燦々と照りつけるインドの極彩色の風景からはじまるから「映画を間違えたかしら」などと感じた。
インドで財政的に破産寸前の孤児院を運営するデンマーク人ヤコブの元に、母国のある企業から寄付の申し出が届く。ただしその条件として、ヤコブ自身がコペンハーゲンを訪れ最高経営責任者と面会しなければならず、単身インドを発ったヤコブはヨルゲンという男と会う。だがヨルゲンは、まだ君の団体に寄付をするとは限らないし、それは後日決定すると語り、約束が違うと戸惑うヤコブをあしらい、自分の娘の結婚式に招待する。
マッツ・ミケルセンが良い。
私はあまり男性役者に惚れるタイプではない。あえて男性の好みとしては昔の堺雅人さんとか田辺誠一さん、玉木宏さんで、ようするに細面で二面性のありそうな感じだが、マッツ・ミケルセンさんはこの映画では鈍感で誠実、しかもろくでなし、あ、好みだわ。
人は死から逃れることは出来ない。
子どものころはこの「人は死ぬ」という事実が恐くて、たとえば夜にふと脳裏に浮かんでしまうとお布団の中でひいひい泣いたりもした。
私の場合、自分が死ぬことが恐かったのではない。自分の死についてはよくわからない。自分はただ「死ねない」と思っているだけで、それより自分の力が及ばぬかたちで周りの人が死ぬほうが恐い。私は私自身の死より、私の世界が壊れていくほうが恐い。
続く、かも。
- 2006年のデンマーク映画『アフター・ウェディング(Efter brylluppet)』について。